【SaaS is Dead?】Excel + Copilotの時代に、なぜ専用業務ソフトウェアが必要なのか?
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AIの進化により、AI-OCRをはじめ、MCPでのアプリケーション連携や業務自動化が飛躍的に簡易化されました。こうした変化は表データのような複雑な領域にも及んでおり、その代表例が「Copilot in Excel」です。
これまで専用ツールやマクロを要したデータ整理・集計も、自然言語で「〇〇の△△からマスタデータを作成して」と指示するだけで実行できるようになりました。では、ExcelとCopilotが十分に進化すれば、データ加工や自動化のための専用業務ソフトウェアは不要になるのでしょうか?こうした状況では、新しい業務ソフトウェアに対して「それはChatGPTやCopilotでやるのと何が違うのか?」という疑問を持つのも自然です。実際、AIが同じ作業を実行できるのであれば、わざわざ専用のソフトウェアを導入する必要はないようにも思えます。
しかし、この問いには「AIがその作業をできるか」と「企業がなぜ業務ソフトウェアを導入するのか」という二つの論点が混ざっています。この問いに答えるには、「企業がなぜ業務ソフトウェアを購入するのか」という根本的な目的に立ち返る必要があります。
Copilot in Excelの進化と「SaaS is Dead」論の背景
Copilot in Excelは急速に進化しています。Microsoftが提供する「Edit with Copilot in Excel(旧Agent Mode)」により、AIは従来の「数式を提案するアドバイザー」から「ブックを直接操作する作業者」へと変化しました。ユーザーがチャットで指示するだけで、テーブルやグラフ、ピボットテーブルの作成・変更をAI自体が実行します。
さらに、操作を記録・実行する「Office Scripts」や「Power Automate」を組み合わせれば、メール受信をトリガーとした定期処理までMicrosoft 365(M365)内で完結可能です。最近では「SaaS is Dead(SaaSの終焉)」と語られることも増え、従来は専用システムが必要だった処理の多くがM365で代替できるケースは間違いなく増えています。
しかし、本当に専用の業務ソフトウェアは不要になるのでしょうか。
「AIで作業ができる」と「会社の業務として運用できる」は違う
例えば、毎月取引先から送られてくるExcelを加工する業務を考えます。担当者がCopilotに「不要な列を削除し、日付形式を統一して商品別に集計して」と指示すれば、その場の処理自体は完了するでしょう。
しかし、これを「組織の業務」として継続運用しようとすると、以下の課題が浮上します。
- 来月も同じプロンプトで全く同じ結果が得られるか(担当者による揺らぎ)
- 引先がフォーマット変更した際、誰がどのようにロジックを修正するか
- 処理方法を変更する際の承認プロセスが存在するか
- 出力結果に誤りがあった際、どの工程でエラーが起きたか遡れるか
- 業務を理解している担当者が異動・退職した場合に引き継げるか
ここで問われているのは「AIがその作業を実行できるか」ではなく、「その作業を会社の業務として安全に再現・継続できるか」なのです。
業務ソフトウェアの本質は「作業の代替」ではなく「統制とガバナンス」
業務ソフトウェアは単なる作業自動化ツールではありません。本質的な価値は「業務設計・運用・統制(ガバナンス)」の仕組みにあります。
例えば経費精算システムの場合、金額計算や領収書のOCR読み取り自体はAIでも可能です。しかし、企業がシステムを導入する真の目的は以下のルールを厳格に適用することにあります。
- 誰が申請・承認できるのか(権限管理)
- どの項目を必須とし、どの証憑を保存するのか(コンプライアンス)
- いつ誰がデータを変更・承認したのか(監査証跡)
業務ソフトウェアが担っているのは、個人の「作業」の代替だけではなく、組織としてのルール・責任範囲・統制を仕組みとして固定する役割です。
自由度の高いAIだからこそ、組織には「制約」が必要になる
AIの最大の強みは「自由度と柔軟性」です。しかし、組織利用においてはこの自由度が裏目に出るリスクがあります。
社員ごとに異なるプロンプトでデータが加工されノウハウがブラックボックス化する「野良プロンプト」の発生や、正式な集計ロジックが個人の判断で変更されてしまうリスクです。
企業において重要なのは、むしろ以下のような「制約」です。
- 指定された権限者のみが実行できる
- あらかじめ定義された処理のみを許可する
- 実行履歴(ログ)を必ず残す
AIができることが増えるほど、そのAIの権限範囲と実行結果を管理する「枠組み(ガバナンス)」の重要性が増します。
「自作できる」と「組織で維持管理できる」の間の隠れたコスト
M365やPower Platformを駆使すれば、社内業務のかなりの部分を自動化できる可能性があります。また、昨今、Claude Code、CodexをはじめとするAIコーディングにより開発の敷居が大幅に下がったため、作るだけであればそれっぽいものは作ることができるかもしれません。
しかし、問題はまず作ったあとです。実際に作って正しく使い続けるには、例外処理の洗い出し、システム設計、テスト、そして運用後のメンテナンスを誰かが担い続ける必要があります。「自力で作れる環境がある」ことと、「自社で責任を持って作り、メンテナンスし続けられる」ことは同義ではありません。
かつてExcel VBAやPower Queryが登場した際も、手作業のExcel業務はなくなりませんでした。単に便利な「道具」が存在するだけでは、運用コストと保守リスクを吸収しきれないからです。
AIが減らすのは「作業」。ソフトウェアが担保するのは「業務」
AIの進化により、文章生成、データ整形、集計といった単一の「作業(タスク)」は間違いなく自動化されていきます。人が手を動かす時間は大幅に減っていくでしょう。
しかし、会社の「業務(プロセス)」は以下の要素が揃って初めて成立します。
- 実行権限とデータの範囲管理
- 処理の同一性と再現性の確保
- エラー発生時のリカバリ手順と履歴の担保
AIによって投げかけられている本質的な問いは「SaaSが必要か否か」ではありません。「AIに任せる作業」と「仕組みとして担保すべき業務統制」をいかに切り分けるかです。
これから重要になるのは、単に「AIより賢く作業するソフトウェア」ではなく、「AIや人間が行う作業を、会社として安全・確実に繰り返せる業務へ変える仕組み」なのです。
弊社では、Excel・CSV・PDFなどのデータ加工をAIで自動化し、一度決めた処理を繰り返し実行できる業務自動化サービス「Subel」を開発しております。
毎月繰り返しているデータ整理・集計にお困りの方は、ぜひご相談ください。

Resonal編集部
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